物流業界の2024年問題への取組みについて(JLPA機関誌 Vol.60 No.3, 2023掲載)
本記事は、JLPA機関誌『ガスプラント』 Vol.60 No.3(2023), PP.12~14 に掲載したものを著作者様の同意を得て掲載させていただいております。また、執筆者様より、その後の状況が加筆されております。
陽品運輸倉庫株式会社 福岡 久士
1.まえがき
陽品運輸倉庫株式会社は,人々の暮らしと産業発展に不可欠なLPガスの安定供給に努め,安心・安全を追求し続け,昨年創立50年を迎えることができました。この間,業務の拡充として,関東一円にLPガス備蓄基地(以下,中間入出荷基地という)の設置を進めてまいりました。ドライバーの負担軽減,輸送の効率化,災害時のリスク分散等を目的に進めてきた取組みが,「働き方改革」(2024年問題)の課題解決に繋がっております。その取組みにつきましてご紹介させていただきます。
2.取組み内容
中間入出荷基地の設置(大型貯槽の増設)及び車両の大型化(16t積LPガスタンクトレーラ)
一次基地(京葉・京浜・鹿島地域)から遠方のお客様まで直接輸送していたものを,中間入出荷基地【袖ケ浦事業所(千葉県袖ケ浦市)・野田事業所(千葉県野田市)・北関東事業所(埼玉県寄居町)・笠間事業所(茨城県笠間市)・新生事業所(千葉県市原市)・鹿島営業所(茨城県神栖市)・東御事業所(長野県東御市)】を設置、貯槽の大型化(50t貯槽)等で貯蔵能力を増強しました。一次基地から中間入出荷基地間は,陸上輸送最大車両である積載量16t積LPガスタンクトレーラにてピストン輸送を行い常に所定の備蓄数量を確保し,中間入出荷基地から各お客様までは小回りの効く中・小タンクローリを配備することにより,トレーラによる大量輸送と中・小タンクローリの高回転運用を実現しました。
中間入出荷基地(北関東事業所)
3.効果
効果1 運転時間・距離の大幅短縮,輸送効率の大幅向上
従 来:長時間運転,1運行/日(一次基地から数百km)
設置後:中間入出荷基地を軸とした短時間運転にシフト,2運行以上/日を実現
効果2 貯槽,タンクトレーラ大型化による運行回数の低減
従 来:頻繁に車両運行
対策後:運行回数低減
⇒ドライバーの負担軽減,安全運行に寄与
効果3 地域貢献
地域従業員(ドライバー等)の採用
その他,一次出荷基地から直接配送する地域のお客様にあっては,従来は多くの配送事業者で早朝から混雑するため,早朝出社して積み込み順番待ちに並ぶ時間外労働が散見されたことから,一部弊社基地からの積み込みに切り替えることにより,乗務員の健康管理上,長時間労働も大幅に改善される結果に繋がっております。
16t積LPガスタンクトレーラ
4.まとめ
2023年暮れより新たな中間入出荷基地になった東御事業所(長野県東御市)は順調に稼働し,当初の想定通り長野・山梨エリアへの配送時間が大幅に短縮し,乗務員の負荷を低減させると共に配送効率の向上に大いに寄与する他,お陰様で配送先より小回りが利く配送会社として大変好評を頂く結果になっています。
今後とも更なる安全・安定輸送を実現し,地域社会から信頼される事業者をモットーとして皆様のお役に立てる運営を目指す所存でございます。
引き続き皆様方から変わらぬご指導,ご支援を切に宜しくお願い申し上げます。
執筆企業ご紹介
会社名 | 陽品運輸倉庫株式会社 |
所在地 | 千葉県市原市五井5945-1 |
設立 | 1972年7月 |
資本金 | 20,000万円 |
代表取締役 | 鈴木 輝彦 |
従業員数 | 252名(関連会社含む) |
車両保有台数 | LPガスタンクローリ205台(うち16t積LPガスタンクトレーラ22台) |
事業内容 | LPガス及び高圧ガスの輸送 LPガス販売 オートガススタンドタンクローリ製作 車検・整備 保険代理店他 |
事業所 | 袖ケ浦事業所(1989年開設 150t) 野田事業所(2005年開設 250t)北関東事業所(2007年開設 225t) 新生事業所(2010年開設 50t)笠間事業所(2016年開設 90t) 東御事業所(2023年稼働 100t)鹿島営業所(1980年開設 車両拠点) |
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