本記事は、JLPA機関誌『ガスプラント』 Vol.63 No.1(2026), P13~P15に掲載したものを著作者様の同意を得て掲載させていただいております。
【お詫び】
本記事を機関誌に掲載する際に「株式会社ガス檢中部」様の社名を誤って「ガス檢中部株式会社」と記載しておりました。ここに謹んでお詫び申し上げますとともに、訂正させていただきます。
株式会社ガス檢中部
代表取締役社長
白砂 真
ガス檢中部は,本社を静岡県静岡市に,事業所を愛知県春日井市,愛知県豊橋市に置き,東海・中部地区の各種高圧ガスプラントの保安検査・設計・施工を行っております。
2025年6月1日より,労働安全衛生規則が改正され,職場の熱中症対策が義務化されました(罰則付き)。
プラント開放検査の夏季集中については,LPガス事業者の不需要期に集中せざるを得ない実情から,過去から永続的なテーマになっていることに変わりはありません。夏場主体の実働ゆえに過酷な労働環境から,検査員の労働環境整備が課題です。今回は弊社の熱中症対策の取り組みの一部を紹介いたします。
近年,地球温暖化の影響により日本国内の平均気温は上昇傾向にあり,夏季における熱中症の発生件数が増加しております。特に職場環境においては,屋外作業だけでなく屋内においても熱中症のリスクが高まっておりますが,企業として従業員の安全と健康を守るための対策が求められています。
厚生労働省の統計によると,毎年多くの労働者が業務中に熱中症を発症しており,その一部は重篤な症状や死亡に至るケースも報告されています。特に建設業・製造業・運輸業などの屋外・高温作業現場での発生率が高くなっていますが,オフィスや倉庫など屋内でも発生例が増加しております。
熱中症は労働災害として企業の社会的責任にも関わる問題であり,発生時の損失(人材損失・稼働停止・社会的信用の低下)は大きいです。
■職場環境の温度管理の難しさ
高圧ガスプラントの基本は屋外作業となり温度管理が困難。
■従業員の意識不足
軽い症状を見逃したり,無理をして作業を続けるケースがある。
■管理体制の不十分さ
熱中症リスクを定量的に把握できる仕組み(WBGT値の測定など)が整っていない。
■個人差への対応不足
年齢・体調・水分摂取量などによってリスクが異なるが,個別の対応が難しい。
(1)職場環境の改善
日除け用タープテントの設置
充電式ファン(防爆エリア外)の設置

(2)作業管理の工夫作業時間の短縮・休憩の定期的な確保(WBGT値に応じた基準設定)
防爆型ファン付きウェアの着用(防爆型ファン付きウェアを検査員全員に支給しております)
遮熱ヘルメットの着用
服装や保護具の軽量化・通気性の確保

(3)健康管理・教育
熱中症に関する教育・訓練の実施(症状・対処法の周知)
体調チェック(朝礼・KYM時の確認)
水分・塩分補給の推奨,スポーツドリンクや塩飴の常備

(4)モニタリングとデータ活用
WBGT計(暑さ指数)の導入とリアルタイムモニタリング

(5)緊急時対応体制
熱中症発症時の初期対応マニュアル整備(下表)
救急搬送ルートの確認
迅速な報告・連絡・救護体制の構築

弊社では2024年に国内で初めて販売となった防爆仕様のファン付きウェアを6着確保し,実際の使用感やメリット・デメリットをレポートでまとめました。検査員からの意見としては改良の余地はあるが「暑さを軽減する効果がある」と報告を受け,2025年の熱中症対策として正式採用することとしました。防爆仕様ファン付きウェアの製造メーカは2024年には1社のみでしたが,2025年には2社増え3社となっております。各社それぞれ性能(風量,連続動作時間,バッテリの重さ,危険個所対応,耐久性,金額)に特色があり,作業環境にあったものを選択しました。
今後も夏場の過酷な作業環境は永続すると予想され,各メーカには現場でのレポートの内容を意見・要望として伝えており,更なる改良型の新商品開発に期待しております。
高圧ガスプラント検査業務における熱中症対策は,単なる季節的な安全衛生活動ではなく,従業員の健康管理と現場の安全を両立する課題です。
今後は,データ活用・IoT技術の導入,働き方改革との連携など,より総合的なアプローチが求められます。企業が積極的に熱中症対策に取り組むことは,労働災害防止だけでなく,社会的信頼の向上にもつながります。