東京貿易メカニクスにおける安全への取組み(JLPA機関誌 Vo.58 No.1, 2021掲載)
本記事は、JLPA機関誌『ガスプラント』 Vol.58 No.1(2021), PP. 11 ~ 13に掲載したものを著作者様の同意を得て掲載させていただいております。
東京貿易メカニクス株式会社
工場長 森山 文男
1. まえがき
東京貿易メカニクス株式会社は,LPG 業界に幅広くサービスを提供させていただき,LPG 業界の発展とともに成長させていただきました。近年では,LPG 業界にとどまらず,都市ガス,ケミカル業界やクリーンエネルギー産業へ新たなサービスを提供しています。横浜工場では,主力製品であるLPG 関連のコンプレッサやポンプをはじめ,各種高圧ガス製品や圧力容器などを製作しています。福岡工場では,付臭装置,脱臭装置,可搬タンク,圧力容器の製作,流量計等の組立を行っています。工場での生産現場作業には,けがや事故に繋がるような危険要因が多く存在します。特にガスに関連する製品が主力のため,高圧ガスを取り扱う場面も多くあります。こうした環境のなかで労働災害を起こさないために,安全作業に工場全体で取組んでいます。
2. 安全衛生活動概要
毎年年度初めに「年間安全衛生管理活動計画」を立て,「労働災害・交通事故・健康災害 ゼロ」を目標に掲げて,安全衛生委員を中心に安全衛生活動に取組んでいます。また毎月,安全衛生会議を実施し,災害の報告と対策,年間計画の実施確認や注意事項の周知などを行っています。
3.安全衛生活動詳細
「年間安全衛生管理活動計画」の内容とその活動についてご紹介させていただきます。
活動計画は,(1)推進事項,(2)安全衛生活動,(3)健康管理,(4)安全衛生教育の4 項目から成り,実施義務がある法定点検や業務に必要な資格取得などの内容も活動計画に盛り込んでいます。
- (1)推進事項
- ①全国の月間・週間行事に合わせた安全活動の実施
- 全国の交通安全などの月間,週間行事に合わせて,朝礼等で周知したり,ポスターを掲示して安全啓発を行っています。
- ②月間安全重点項目を決めて安全注意喚起
- 過去のヒヤリ・ハット内容を月間の安全重点項目とし,朝礼や危険予知活動(KY)で注意喚起を行っています。また,過去の重大事故を教訓に,その事故を忘れないように毎年11 月30 日を「安全の日」と決めて,ポスターを作成し事故防止を行っています。
安全重点項目例
6 月:フォークリフト作業,7 月:工場内歩行,段差,8 月:クレーン操作,9 月:電気通電作業
- (2)安全衛生活動(職場の安全衛生と作業環境の確保)
- ①工場朝礼,KY 活動
- 毎日作業前に,工場と事務所全員が集まって朝礼を行い注意事項の連絡,周知を行っています。また週初めにKY を行い,注意喚起を実施しています。
- ②作業前点検(クレーン,フォークリフト,電動工具,溶接機)
- けがや事故を未然に防ぐために,毎日作業前にチェックシートに基づいて不具合や故障がないか点検を実施します。
- ③玉掛けナイロンスリング,ワイヤー点検
- 吊り具の不具合は,重量物の落下事故につながるため,毎月点検を実施しております。不適切な吊り具は廃棄します。
- ④フォークリフト法令年次点検,天井クレーン年次点検
- フォークリフト,天井クレーンは毎年,点検業者に依頼し点検を実施しています。不具合箇所の修理や消耗品の交換を行っています。
- ⑤安全巡視点検
- 安全点検表に基づき,安全衛生委員が安全巡視を行っています。不安全箇所を指摘し,改善に繋げています。
- ⑥ヒヤリ・ハット事例の収集
- 1 年に1 回,ヒヤリ・ハット提案書を全員に配布しヒヤリ・ハット事例を収集します。収集した事例を基に,作業環境や安全衛生の改善に繋げています。
- ⑦工場,事務所清掃
- 毎週金曜日終業時間前30 分間を一斉清掃時間と決めて,工場と事務所を全員で清掃し,清潔で働きやすい職場を目指しています。
- (3)健康管理
- ①熱中症予防対策
- 外気温度が上昇する6 月から清涼飲料水や塩飴の常備,スポットクーラー設置などの熱中症予防を行います。空調作業服などの貸与も行っています。
- ②インフルエンザ感染症対策,予防接種(任意)
- インフルエンザ感染症対策として,マスク着用や手洗い,予防接種の推進を朝礼時などに促すようにしています。
- ③新型コロナウイルス感染症対策
- 今年は新型コロナウイルス感染症が大流行しています。インフルエンザ感染症対策と同じく,マスク着用や手洗い励行を行っています。その他に,時差勤務や食堂に飛沫飛散防止パネル設置などの対策も実施しています。
- ④長時間労働監視
- 安全衛生会議時に長時間労働者がいないか確認を行い,対象者がいれば必要に応じて面談などを実施します。
- (4)安全衛生教育
- ①雇い入れ,作業内容変更に伴う安全衛生教育の実施
- 労働安全衛生法第59 条から,雇い入れ時,作業内容変更時には,安全衛生教育を行い記録します。
- ②職長教育
- 労働安全衛生法第60 条から,新しく職長に就く者は職長教育を受講します。また適宜,職長教育を必要とする場合なども職長教育の受講を計画します。
- ③法定資格の確保
- 生産現場の作業で必要な,玉掛け,クレーン,フォークリフトなどの法定資格の取得を計画し,取得に努め,無資格での作業を防止するようにしています。
- ④安全衛生推進者の受講
- 安全衛生の意識を高めるために,できるだけ多くの者に安全衛生推進者講習を受講させることを計画し,受講を進めています。
4. まとめ
安全衛生活動が,安心安全な作業環境で,全員が安心安全に働くことができるように,ただ計画を消化するだけで形骸化しないように,実りのある活動にしなければならないと考えています。特に今年は,新型コロナウイルス感染症の流行により,生活様式が変わるなど安心安全とは言えない状況での中で計画通りに行かないこともありますが,全員が不安なく働けるように,安全衛生活動を地道に継続して行きたいと思います。
皆様,ご安全に。