I・T・Oのオンラインセミナー「ガスの極意(ススメ)~STUDY WEEK~」について(JLPA機関誌 Vol.60 No.3, 2023掲載)
本記事は、JLPA機関誌『ガスプラント』 Vol.60 No.3(2023), PP.9 ~11に掲載したものを著作者様の同意を得て掲載させていただいております。
I・T・O株式会社 営業本部 山口英城
1.はじめに
I・T・O株式会社は,1953年創立以来,圧力調整器を中心にガス供給機器の開発,製造,販売,メンテナンス及び施工エンジニアリングを行なっています。長年の経営で培った知識やエンジニアリング力を活用し,エネルギー業界に貢献できるよう尽力しております。
表題にもあります「ガスの極意~STUDY WEEK~」は,主にガス事業に関わる企業にお勤めの方を対象に,供給機器メーカーとして推奨する保安確保のための知識を共有するためのオンラインセミナーになります。本記事では,オンラインセミナーを開催するにあたっての経緯や準備,開催後の結果をご紹介いたします。
2.ガスの極意~STUDY WEEK~の概要
弊社では2021年に「LPガス事業者新入社員向けセミナー」と題して,オンラインセミナーを開催しておりました。弊社を含む4社の企業にご参加いただき,それぞれ調整器やメーターの内部構造や期限管理等基礎的な内容を4項目,2日間に分けて開催いたしました。
こちらのセミナーの好評を受け,2022年は「ガスの極意~STUDY WEEK~」と題して3日間,18項目と大幅に規模を拡大いたしました。これにあたり,講師としてご協力いただく企業も弊社含め7社となりました。
講習内容は前年度開催後,受講者よりご要望の多かった中堅者向けやコアな内容を入れ込み,新入社員からベテランの方までご自身にあった内容の講習を受講できるよう,学校の授業をイメージした時間割を作成いたしました。
3.開催に至った背景
例年は,弊社の出先営業所より担当の営業パーソンがガス事業者の事務所や現場に赴き,対面で講習会を開催としておりましたが,2020年からの新型コロナウイルスの蔓延防止のため,従業員の方々を一ヶ所に集めて行う対面での講習会が減少しました。
そういった状況の最中であっても,ガスの保安教育はガス業界において重要な課題の一つであり,対面での講習会が避けられる中でも効率よく教育を行うことはできないかというご相談を弊社営業パーソン宛に多々頂いているという報告を受けておりました。
供給機器メーカーとしてそういった企業の一助となるべく,開催方法の模索を行いました。
感染予防を徹底した上での対面開催,動画投稿サイトを用いたオンデマンド配信などが手段として挙がる中,
- ・対面ではないがリアルタイムでの情報提供,質問回答が可能であるため,知識の定着してきた新入社員にとってもメリットである。
- ・場所を限定せず,パソコン,スマートフォン,タブレットがあれば参加可能なため,出先での車内や普段は電話番などで参加できない事務職員もデスクから参加しやすい。
などの利点を考慮し,オンラインセミナーという形での開催が決定しました。
実際に発信したフライヤー(チラシ)
実際の講習会風景(調整器について)
4.開催までの経緯
全国規模で同時に講習会を開催する立場として,誤った内容・資料は当然ながら配信できません。開催に向けての資料作成では,引用している情報を弊社内や各社に再三に及ぶ確認や,過去の講習の見直しを行うなど,たいへんな時間と注意を要しました。
開催にあたっては,「Zoomウェビナー」※1と呼ばれるインターネットツールを採用いたしました。本セミナー以前はミーティング形式のZoomを用いて開催しましたが,音声,画面共有のトラブルなどが抑えられるウェビナーでの開催となりました。
手軽にセミナーへの申込ができる工夫もいたしました。
自動でメールを送信できるシステムを用いて,Webサイトでの参加登録をした方に,申込完了通知が届くような設定や,弊社から発信するフライヤー※2にはスマートフォンなどで読み取れるQRコードを添付するなど,時間帯や媒体を問わず申し込める環境づくりに徹しました。
- ※1:Zoomミーティングは双方向コミュニケーションを目的としたWeb会議機能ですが,Zoomウェビナーはホストが視聴者に対して情報を提供する一方通行のオンラインセミナー機能です。
- ※2:フライヤーとは英語ではflyer,flierなど表記し,チラシのことです。
5.開催後の結果
2021年の「LPガス事業者新入社員向けセミナー」開催時は延べ1,350名の方にご参加いただいたところ,2022年の「ガスの極意~ STUDY WEEK ~」の参加者数はその倍以上となる,延べ3,250名となりました。
参加いただいた方には,セミナー後のアンケートにご協力いただきました。その結果,下記のように,非常に満足度の高い結果を頂くことができました。今後のセミナーについても「参加したい」と答えた方が全体のほぼ100%と,今後の励みになる結果でございました。
同アンケートに設けたご感想を記入いただく欄では,
- ・わかりやすい説明でちょうどいい時間だった。現場に出ることは少ないが,調整器の仕組みなどが分かりやすかった。(事務担当の方より)
- ・私は事務職です。入社して数年よく分からないまま経ちました。事務とはいえど知識がないと処理出来なかったりするのですが,現場ではないのでなかなか社内でこういった研修がありません。すごく勉強になりました。ありがとうございました。
- ・もう少し回数を増やしてほしい。年に2,3回開催してほしい。
以上のようなお褒めの言葉や改善要望など,たいへん多数のご意見をいただきました。
要望の中では「時間が合わず,セミナーをすべて受講できなかった」というご意見が目立ちました。都合上,一般的に業務が行われている時間にしか開催ができず,通常業務の合間に受講いただくしかなかったことが原因と捉えております。課題として念頭に置き,今後のセミナー改善に活かしていく所存でございます。
6.さいごに
開催前は,どれぐらい多くの方にご参加いただけるのか,業界の要望に沿った内容になっているのかなどの不安もございましたが,開催後のアンケートや弊社の営業パーソンが訪問した際にもご好評のお言葉を度々頂いております。有難いことに,2023年度のセミナー開催もご要望いただいております。
現在はガス関連団体などの講習会や説明会などでも,オンラインセミナーという形式が業界内で浸透してきたように思えます。コロナウイルスの流行も4年目を迎え下火になりつつある中,今年度もオンラインでの開催とするかどうかは検討中ではございますが,時流だけでなくお客様のご要望にも耳を傾け,手法も変化させていく所存です。
今後も各種ガス供給機器の販売はもちろん,オンラインツールを積極的に活用したセミナー開催を進め,ガスの安全を保つという供給機器メーカーとしての使命を果たして参ります。