本記事は、JLPA機関誌『ガスプラント』 Vol.62 No.1(2025), PP.13~14に掲載したものを著作者様の同意を得て掲載させていただいております。
トキコシステムソリューションズ株式会社
エネルギーを取り巻く環境は,地政学的リスク増加などで不確実性が日々増している状況です。
国内におけるエネルギーの備蓄や供給拠点確保とその運営は,事業継続計画(Business Continuity Plan)上からもきわめて重要になります。
トキコシステムソリューションズは,石油やガスを中心としたエネルギーインフラで流体計測技術とエンジニアリング力を生かし,ビジネスを展開している企業です。
今回,エネルギーの備蓄・在庫量や供給状況をIoT技術で一元監視し,業務を合理化するシステムを開発し提供を開始しましたのでご紹介させていただきます。
■エネルギーの見える化のニーズ
国内において,商用のガソリンスタンド以外にも各種モビリティへのエネルギー充填,燃料の供給などを行っているエネルギー備蓄や供給拠点は数多くあります。
これらの拠点毎にエネルギーの在庫量や供給量の情報は,人手による管理が行われているのが実情です。
昨今の人手不足により,企業が保有するエネルギーの情報を一元管理し見える化を行う合理化ニーズが高まってきました。
■クラウド上での燃料管理システム ToXCloud(とっくすくらうど)
このようなエネルギー備蓄や供給の情報を一元管理しクラウド上で見える化するシステムが「ToXCloud」です。
ToXは“TokicoのDX”の意味とDXに向かっていく“To DX”の意味を持たせ名付けました。
ToXCloudはエネルギー拠点に給油管理情報端末(LTE回線経由)を設置してエネルギーの在庫量や利用量のデータを吸い上げ,どの拠点にどのくらいのエネルギーが確保され,いつどのくらいのエネルギーが利用されたかを一元管理します。
製品ロゴ
■ToXCloudの利用事例
●自家用給油所の事例:在庫管理+出荷(給油)管理
業務用車両や各種モビリティ向けの自家用給油所では,地下タンクの油面計と給油機に連動した給油管理情報端末(以下製品名『HR-1』)が,タンク在庫量や給油所に来訪する車両毎の給油量を管理しクラウドに情報を上げます。クラウドに上げられた情報は拠点毎に整理し,IDが付与された管理者が閲覧できます。
各車両はHR-1で給油カードを読み取らせて給油を行います。どの給油カードでいつ・どれくらいの給油を行ったかをクラウド上で確認できますので,タンク在庫管理とともに給油情報の管理も可能になります。
●ホームセンタ灯油ショップの事例:在庫管理
ホームセンタの灯油ショップの地下タンクの残量をクラウド上で管理し,タンク残量が閾(しきい)値を下回った場合,メール等で管理者へ通知されます。冬場などの繁忙期に灯油の在庫が切れてしまうといった販売機会損失の発生リスクを軽減します。
また,配送業者にもログインアカウントが付与されている場合は,常に各灯油ショップの在庫を確認することが可能になり,効率の良いローリー配送計画を立てることができます。
●オートガススタンドの事例:出荷(充填)管理
オートガススタンドのLPGディスペンサーとHR-1とが連動し,LPGディスペンサーの充填情報をクラウド上に上げ,オートガススタンドの管理を遠隔で行うことも可能です。
■ToXCloudによるエネルギーの見える化と安全な効率の良い運用
上記事例のように各拠点のエネルギーの状況がクラウド上に確保されます。
これらの情報をIDが付与された管理者が,パソコン,タブレット,スマートフォンなどのIT端末から閲覧することが可能です。画面事例を図1と図2に示します。
図1 TOP画面
図2 タンク在庫画面(PC画面)
これらの情報は簡単な操作でCSV形式のデータとして取得できますので,担当者のPCでEXCEL表での加工や各社に導入されている販売情報系のシステムへの連携利用が可能になります。
また,各種設定により,たとえば拠点のエネルギー在庫量が低下した際,登録された管理者にアラートを通知するしくみやインフラ機器の異常などを通知することにより,エネルギーの安全に効率のよい運用が可能になります。
当社は今後も顧客の困りごとをDX技術で解決するシステム・ソリューションを提供してまいります。